ADKとラクスル/ノバセル、資本業務提携の意味と範囲

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2020年12月、ADKとラクスル(の中の、運用型テレビCM領域であるサービスのノバセル)協業がリリースされました。

あれから約1年、いったいなぜ協業したのか、協業した結果どこまでできるようになっていて、特に既存総合代理店であるADK目線で何が足りていないのかを考察しました。

資本業務提携について

ラクスル側の視点

プレゼンでは、データを使えるので分析精度が上がる、PDCAもよくなる、デジタルも売れるようになる、などと、3本柱風に語っています。

が、ラクスルの最大にして他を無視できるインパクトのメリットは真ん中、なんといっても”テレビスポットが普通に買えること”につきます。

今までラクスルの座組では、仮にどの枠や要素が効果的にきくのかが分かったとしても、アクションとして実施できるのは【すでに購入した枠のクリエイティブの差し替え】か【SAS枠購入(単発タイムに近いような、番組指定購入。単価が高い傾向)】しかできませんでした。
ここに、【ADKによるスポットバイイング】が実現できると、エグゼキューションの選択肢が一気に広がります。
そのクライアントにはほしい枠だけ割り当て、残りを他と融通する、なんてことも将来的にはできちゃいます。高く買ってくれるクライアントに高く売る、という未来です。

ADK側の視点

ADKのメリットは、顧客リソースの拡大と武器入手、協業避止にあります。

顧客リソースについては、ノバセルが得意とするスタートアップ・ベンチャー企業の対応リソースをADKがそれほど持っていなかったために、手を広げるきっかけの一つとしてとらえているようです。
他方、もともと持っているゲーム/アプリ・通販など、Web CVやROAS型クライアントについてもより手厚くサポートすることを意図していると思われます。

武器入手についてはダッシュボード+ノバセルが主張する成果連動報酬TVCM(効果があれば追加でお金をもらう座組)です。
ダッシュボードについては、それ自体というよりも、俗人化しているナレッジを汎用的なものに変えていきたい/だれでも一定水準でテレビを評価できるようにしていきたい、という意図もあるとのこと。
座組については正直既存領域を脅かす可能性もあるものですが、それゆえにADKにとってのTVCM新規クライアントに限定する、といったルールの下運用されています。

協業避止 については言わずもがな、電通や博報堂、サイバーエージェントと手を組まないでください、という意味です。
CAと手を組むな、が正直一番インパクトがある気がしますが、ノバセルが実現している内容はちょっと頑張ればCAでも実現できうる領域だと思われるので、どこまで効果があるのかは不明です。

何をして、何をしないのか

一緒になって取り組んでいること

ノバセルが得意なCPA・ROAS運用の広告主にフォーカスして協業しています。
CPAと同様の概念で測れるサイト来訪やapp installなどは実施されているものの、それ以外のKPIの広告主については、ADK側から見ればノバセルである必然性が低いですし、ノバセルから見ればデータ取得や成果改善が難しいところもありさほど熱心ではないとのこと。

また、メディア運用というのは工数=コストがかかりやすい領域ですが、ノバセルが運用を担うことでそこにお互い本気で入り込める、というメリットがあるようです。
総合代理店のテレビ担当やメディアマーケwと呼ばれる人種は、ダイレクトマーケなどと異なり手離れの良さを好む傾向にあるため歓迎されているようです。

一緒には取り組まないこと(ADK単体で取り組むこと)

ノバセルが苦手とするKPIや、ADKの1級クライアントは対象外としている感があります。
また、メディア運用についてもノバセルに任せられないものでかつ工数がかかりそうなものは断る方針ではあります。

買いますが工数が見合わないので運用しません、がまだ通用する時代です。
今後どうなっていくのでしょうか・・という不安はあるものの、実際は事前のプランニングとバイイングさえしっかりしていれば期中運用なんてほとんど必要ないことのほうが多いので、この部分は今後も何とかなっているのだと思います。

テレビのマージンはどうなってるの?

ADKとしては、フック商材としてノバセルを売っていく方針ではあるそうです。

ADK商流(クライアントに向き合う営業さんがADK)の場合、メディアマージン既得権益をノバセルに渡すつもりは全くなく、ノバセルはSaaSで稼げ、というのが前提条件とのこと。

ノバセル自体はSaaSで稼ぐというよりもクリエイティブ制作とメディアマージンで儲ける(代わりにサービス自体は無償提供する)ようなモデルですので、ここの部分は実は相反しています。
ダッシュボード&運用サービスとして売るのか、従来の売り方で行くのか、ノバセルが選択を迫られています。

テレビスポットの定価はあってないようなものですので、ノバセルがメディアマージンを1%なり3%なりのっければそれで済む話なのかもしれませんが、営業さんがADK=請求作業もADKですので、乗せるのも難しい環境なのかもしれません。

逆に、ノバセル商流の場合、メディアバイイングの収益はノバセル10%、だそうです。
仮にADKが15%のせている場合、ノバセル10%、ADK5%と分けていることになります。メディアを買い付けるだけでマージンが勝手に入ってくるモデルはおいしいですね。