Tele-Digi AaaS with Googleが期待はずれの理由

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電通や博報堂といった代理店に限った話ではなく、広告主においても、Googleと連携してこんな新しいことをやりました、Facebookと連携してこんな特殊なことをやりました、という、いわゆるプラットフォーマー連携は受けがいいものです。

新しいことに取り組むことが特に評価される会社であればそれで十分価値になっていると思いますが、成果、特に、短期的な売り上げを背負っているようなマーケティング関連部署ではそれだけでは不十分です。

今回は、プラットフォーマーと代理店が組んで開発した(と主張している)ソリューションについて、そもそも何ができるのか、どういう場合に導入すべきなのかなどをまとめました。

背景

AaaSとは

詳細はこちらの記事をご参照ください。
博報堂提唱、AaaS(アース)とは?意味や仕組みまとめ

テレデジ運用の課題

博報堂の言い分

データ収集・加工を汎用化し、無料BIツールを活用することで、どの得意先でも気軽にテレデジ運用ができるような市場環境が整ってきました。
つまるところ、その部分は主戦場ではなく・・求められているもの、提供するものは、運用力、だそうです。

テレデジ共通指標で出稿をモニタリング・分析することで、キャンペーン後に検証する静的なスタイルから、出稿期間中にも改善する動的なスタイルへ転換を目指しています。

目指す姿を実現するデータについては、リーチ~態度変容~行動変容~行動までのフルファネルでの指標をワンソースで保持しているプレイヤーであるGoogleの力を借りるとのこと。

3行まとめ

  1. テレデジモニタリング環境は整ってきた
  2. モニタリングにとどまらず、キャンペーン期間中に運用したい
  3. フルファネルに対応するGoogleのデータを使う

ソリューション概要

名称は?

Tele-Digi AaaS with Google

リリースも出てます。

何ができるの?

Googleが保有するツール/データ群とHDY独自のアルゴリズムを掛け合わせメディア側で担保できる“Reach & Frequency”をKPIとした出稿後分析(プラニング)と出稿中モニタリング(バイイング)によってテレデジの統合運用・最適化を実現するソリューション、だそうです。

R&Fの話をしていますが、前段、Googleのデータはフルファネル対応、という話も合った通り、基本的にフルファネルへの対応を目指しています。
Reach&Frequencyは計測も運用も簡単ですので、そこから手を付けたのではないかと。

例えばこのソリューションを使ったユースケースでは、

上記のように、キャンペーン期中のモニタリング結果をもとに予算配分、といったことが可能になるようです。
MF1のテレビリーチが低くBumperの相性がいい、などの結果はやる前から分かっていたであろうことですが・・広告投資をきちんと説明できている点は魅力的です。

どうやって実現しているの?

TVのリーチについては、ビデオリサーチ社(以下VR)から購入するリーチデータを使用しているとのこと。
VRデータは世帯・個人はもちろん性年代などの軸でTVCM1本1本のリーチ・延べリーチを算出してくれます。算出の根拠はVRパネルに配布された視聴ボタン(家族の中のだれがテレビを見ているのか)です。
パネル数が若干少ない印象を与えがち(関東2,700世帯)ですが、そもそもテレビのデータの正解はVRですので、統計的なブレの話をしたところで特段何も始まらない(受け入れるしかない)のが実情です。

また、VRのデータを使っているので、ポイントゲッター的思考がある(普通の家庭にピープルメーターはない)、テレビ視聴世帯の中でも比較的テレビ視聴比率が高い(高年齢層のリーチが高く出がち)などの特性はあります。

他方、デジタルのデータについてはGoogleのデータを使用しています。
とはいえ使っているのはGoogleから特殊な座組で、博報堂オリジナルで使えるデータではなく、Display&Video360(以下DV360)かCampaign Manager260(以下DCM)のユニークリーチレポートです。
DV360配信であれば複数媒体、例えばYoutubeとTVerのリーチ計測や、将来的にはDOOH(ライブボードなど)との複合アクチュアルリーチ計測も可能になるかもしれません。

テレデジ重複については特許出願集の重複ロジックだそうです。もしかしたらここにGoogleの叡智があるのかもしれません。
Googleのシミュレーター自体にもテレデジリーチ推計などは実装済なので・・とはいえそれもGoogleを使ってしまうと博報堂が噛む意味が営業機能でしかなくなりますし・・謎です。

いくらなの?

Tele-Digi Analytics(事後分析)

  ・50万円

Tele-Digi Monitoring(ダッシュボード構築・運用)

  ・構築初期費30万円、運用費10万円/月

 ・データ/ツール実費

   VR(1地区約25万円/月+15万円/地区)DCM(初期費+imp課金)

だそうです。

VRデータ費はほぼ原価、ですね。
DCM費用は広告主では原価を知りようがないところがあるのであれですが。

VRデータは毎月かつ地区ごとにかかってくるので、図るのであれば1地区、例えば関東のみ、といった選択肢がいいかなと思われます。
全国津々浦々を計測して運用していく、という方向性は向かないようです。

とはいえR&Fであれば毎回同じような出稿であれば同じような結果に帰着しますので、一回測ってみて、次回プラニングを改善する、程度の使い方で十分かなとは思っています。

このソリューション、使えるの?

いいな、と思った部分

博報堂とGoogleで特殊な座組がある雰囲気が出ている、のはすごくいいなと思いました。
何か新しいことをしてくれるのではないか、と期待せずにはいられません。

フルファネルである必要性はさておき、態度変容、具体的にはYoutube広告でたまに出てくるアンケートのようなものがテレデジに活きてくる、という未来も見えかかっています。

留意すべき、と思った部分

そもそもの背景部分のロジックが謎です。
モニタリング環境は整ってきた、運用したい、データはGoogleのもの使います、という流れでしたが、テレビの運用にGoogleは絡んできませんし、データソース=Googleを立たせるのであれば計測の話や評価の話に振ったほうがいいのではと思ってみたり・・
おそらく、Googleと何かしたいだけ、あるいは、社内政治に振り回されたソリューションなんじゃないかな、と邪推しています。

かつ、背景で運用に触れているのに対しソリューションの中身で運用に触れていないのも気になります。

リリースで出てきた図でさえ、

運用とは名ばかりのモニタリングと事前分析の話という・・

また、Googleとのソリューションであることに起因するアウトプットバイアスも気がかりです。共同開発ソリューションとのことで、Googleにメリットがある座組のはずですし、基本的にGoogleはテレビから広告予算を獲りたいと思っているので、運用のサジェストはテレビからoo円Youtubeに寄せるとxxだけ改善します、というものになります・・。
それはそれで正しいのかもしれませんが、例えばそもそもまだYoutube広告にあたる人とテレビではリーチポテンシャルが異なったり、テレビとデジタル(PC/SP)では視聴態度がまるで違うのでR1+以外のR&Fの統合指標に特に意味がないのではないかという疑惑があったり・・

また、ポテンシャルリーチが出てこないのも気になっています。
テレビであれば、次にどこに線を引くことで今までと重複が少ない/多い人たちにあたるのか、
デジタルであれば、今のテレデジ重複リーチ状況で、さらに新しいリーチを獲りに行くときの単価はどこが安いのか
といった指標です。
結局、テレビとのインクリメンタル余地が大きいooに寄せましょう、程度の運用しかできない気がします。かつ、それをしたところで変わるのはせいぜい5%程度の世界なのかなと・・。

もし私が広告主だったら・・

どんなソリューションでもある種の仮定条件があり、それが致命的でない限り受け入れるしかない、と考えています。

特に目新しいことではない、データ費が高い、結局運用はデジタル偏重・CPMが安価なBumper推奨になりがち、運用判断に必要十分な指標がモニタリングできそうにない、という理由で

いらない

そう判断しました。


Googleに予算をよせたいんじゃない、成果を上げたいんだ・・