博報堂のTele-Digi AaaSソリューション【Liv】(リブ)について

この記事は約15分で読めます。

AaaSの中のLivの立ち位置

AaaS概要

AaaS(アース)とは、博報堂DYグループが提唱する広告メディアビジネスの次世代型モデルです。
従来の「広告枠」を売り物としたビジネスから、データ✕システム✕アルゴリズム✕人による、広告主の事業貢献である「効果」を売り物としたビジネスへと脱却することで、広告の「サービス化」を目指しています。

AaaSには現在3つのレイヤー、4つの領域が存在します。
マーケティングレイヤーに向き合うAnalytics AaaSは、売上や販売といったビジネスKPIに対するマーケティング施策の影響を定量評価することを目的としています。具体的な提供価値は、マーケティング構造の把握・マーケティング効果の可視化・最適予算配分プラン提案の大きく3つです。

マーケティング施策のうちメディア出稿について、個別メディアの最適化や分析の深化を目的としているのがTV AaaS・Digital AaaSです。 具体的な提供価値は、個別メディア効果最大化のための運用および運用に必要となるデータのモニタリング・モニタリング結果やアディショナルな分析結果を反映するプラニングです。

Tele-Digi AaaS(テレデジアース)は、マーケティングレイヤーのソリューションAnalytics AaaSと個別メディアレイヤーのソリューションTV AaaS・Digital AaaSをつなぐ、統合メディアレイヤーのソリューションです。Tele-Digi AaaSではメディアの統合評価・統合運用によりマーケティング効果最大化への貢献を目的としています。具体的な提供価値は、マーケティング施策効果最大化のためのメディア統合での運用およびモニタリング、それらを最初から最適化するためのプラニングです。

LivとAaaS

Livは2019年から開発・得意先提供されてきた、メディアの統合評価・運用サービスです。
AaaSの概念が提唱されたのは2020年12月ですが、その際に【LivこそまさにAaaSを体現するソリューションである】としてAaaSを構成する1要素として取り込まれ、2021年6月の再体系化で、LivはTele-Digi AaaSの1つとなりました。蛇足ではありますが、ほかにも、Atma Data Driven SpotやAudience DIVEなど、博報堂・博報堂DYメディアパートナーズがこれまで提供してきた多くの既存サービスはAaaSの名のもとに再体系化(吸収)されています。

Livのサービス開発は博報堂グループにしてはやや特殊で、フロント(業推局)で完結しているとのことです。それゆえに、開発関連局主導でありがちな”作ってみたはいいけど使い道がない”・”高度化に成功したがニーズがない”・”開発からローンチまで日数が相当かかる”・”局ミッションと異なるのでリソースがさけない”、といったことがなく、マーケットインなソリューションをスピーディーに実装できてきたようです。

Livの特性

Tele-Digi AaaS、統合メディアレイヤーでは、そのソリューションを特性付けるものとして、
どのようなメディアを、どういった統一KPIで、どのように評価し、どうやって運用するのか
という、メディア・KPI・評価・運用の4つがポイントとなっています。

加えて、マーケティング戦略を具体化するメディアレイヤーとして、マーケティングレイヤー(Analytics AaaS)との関係性、メディア最適化をより一層実現する個別メディアレイヤー(TV AaaS・Digital AaaS)との関係性など、上下レイヤーとのつながりもポイントです。

以降のセクションでは、 メディア・KPI・評価・運用・上下レイヤーソリューションとのつながり、という5つのテーマについて深掘りしていきます。

Liv(Tele-Digi AaaS)が対応するメディア

メイン領域=テレビ&デジタル

AaaSが対象としている4領域の名前がまさにそうですが、マーケットニーズやインパクトが大きいこと、改善余地が大きいことなどから、Livではテレビ(地上波・SPOT&TIME)とデジタルをメインの対象としています。

データ✕システム✕アルゴリズム✕人による、広告主の事業貢献である「効果」を売り物としたビジネスへと脱却を目指すAaaSにおいて、データが取得できるかどうかは特に重要な視点です。
デジタルは(取得の容易性や個人情報処理の工数はさておき)ほとんどすべての情報にアクセスできるような環境がもともと存在します。データ取得が難しいと思われがちなテレビも、出稿情報はビデオ・リサーチ社やMデータ社などから取得でき、番組視聴やその後の態度変容・行動情報は、調査会社や結線テレビから得られるログデータにより取得できるため、実はテレデジともにデータ取得が容易ではあります。
これがたとえば新聞や雑誌だと、そもそも読んでくれたのかどうか、から調査をかける、QRコードなどオンライン行動を起こした後から補足する、といったアプローチをせねばならず、AaaS構想実現へのコミットとしてワンテンポ遅れてしまうことになるようです。

テレデジ以外への対応

Livのメイン対応領域は テレビ(地上波・SPOT&TIME)とデジタル ではあるものの、博報堂・博報堂DYMP=総合代理店として、その他の領域についても拡張しています。

例えば、アナログラジオ+Radikoはその一つで、CM出稿時点データとRadiko聴取ログデータを掛け合わせ、ラジオ広告出稿によりサービス名検索がどの程度増えたのか、そのリフト単価はいくらで、テレビやデジタルと比較し高いのか安いのか、今後出稿量をどうしていくべきか、といった評価・運用も行われています。

他にも、ODM(OOH、屋外広告やサイネージ広告)・デジタル広告の一部ですがその扱いが近年注目されているConnected TV、Display&Video 360からも出稿できるオーディオ広告なども統合評価・運用の対象となっています。

逆に、アナログ新聞・アナログ雑誌はスコープ対象外とのことです。
この部分の片手落ち感は残るものの、後述するAnalytics AaaSとのつながりの中で、全メディアの評価・運用につなげているとのことです。

Liv (Tele-Digi AaaS)が対応するKPI

KPI=フルファネルをカバー

テレビやデジタルの広告効果は、広告主のビジネス成長を実現すること・キャンペーン目的を達成することにあります。

ビジネス成長観点でのKPIでは、顧客ロイヤリティを定量化するLTVやオフラインでの成約、ロイヤリティの一つ手前の刈り取りを定量化する購入やWeb CV、来店などがそれに該当します。
また、メディア選定・出稿目的観点でのKPIでは、非認知層をターゲットとした広告Reachや態度変容(認知・理解・好意・検討など)、認知者の理解を高め行動を促す指名検索やアプリインストールなどがそれに該当します。

ビジネスのフェーズや商材特性、キャンペーンの目的などにより設定すべきKPIは異なりますが、LivはそのほぼすべてのKPIをカバーしています。


例えば”指名検索”を目的としてテレデジを実施していたとしても、結局どれだけ販売に寄与したのか、実際どの程度の人数に広告が届いたのかなど、メインKPI以外の部分も気になってしまう、という事象はよくあることです。その点LivではあらゆるKPIに対応できる状態である(希望すれば希望するKPIすべてを計測スコープとすることができる)ため、かゆいところに手が届きやすくなっています。

なお、メディアKPIの設定方法は大きく3種類です。

・メディアのあるべき論から設定
 テレビはアッパーファネルメディア=リーチでみるべき
 CP期間中のアッパーファネルメディア=潜在層の認知+顕在層のサーチでみるべき、など

・ビジネス上のインパクトが大きい指標/生活者行動パターンを設定
 単相関でみると購買に寄与するのはサーチ=指名検索リフトをみよう
 商材認知⇒検討期間中に商材ページ閲覧⇒最終的にWeb CV=商材ページ来訪リフトをみよう

・Analytics AaaSで算出した中間指標をまるっとして設定
 指名検索とFQ5回リーチ数が効いている場合はそれらを計測、など

計測手法=スパイク+ログモデル

KPIの計測手法は多数ありますが、メディアごとのKPIリフト効果におとす手法は大きく3つあります。
瞬間的なリフト効果を見るスパイクモデル、接触ログを使わずに統計的処理で中長期のリフト効果も見る時系列統計モデル、接触ログをベースに中長期のリフト効果を見るログモデルです。

スパイクモデルは、TVCM出稿時点、デジタル広告imp時点データについて、平均KPI発生数から”その時点から後ろoo分間のKPI発生数”を引くことでリフトを算出するものです。
他の外的要因がない直後oo分間のリフト効果はそのイベントに紐づく、という考え方で、外的要因(それが短期間に2回出稿されたTVCMなども含む)の考慮が十分にできていれば、モデルから算出した数字に妥当性はあります。
それゆえに、直後oo分間(長くても30分間程度)でなければ効果推計は難しく、ゆえに即時効果しか見ることができません。

時系列統計モデルは、TVCM全体やデジタル広告全体などのある程度まとめた粒度に対し、日別や週別推移データなどを使用し、仮に出稿がなかったと仮定した場合(反実仮想)の差分=リフト効果とみなすモデルです。
Causal Impactがその代表例ですが、反実仮想の精度さえ正しければ、 モデルから算出した数字に妥当性はあります。
ただし、まるっとした粒度でしか算出できないため局vsデジタル媒体などの比較が難しい、モデル実装の難易度が高いため例えばGoogleのモデルを使いYoutubeの効果が高く出た場合にそれが本当かどうか信じられるかどうかなど、使い道や導入にハードルが存在します。

ログモデルは、TVCMやデジタル広告への接触ログとKPI達成ログをIDベースで紐づけ、接触した人のKPI達成率と接触しなかった人のKPI達成率を比較・差分をとり全数と掛け合わせることでリフト効果を算出するモデルです。
ログデータを取得するパネルの母数や偏りに問題がなければ、モデルから算出した数字に妥当性はあります。
ただし、細かいKPIや少額出稿セグメントではそもそもKPI達成ログ数・接触ログ出現数が不足してしまい、CVRリフトの統計的な誤差が大きくなってしまいます。ある程度の出稿規模感とある程度まとまったKPI設定(商品名×ooという特定KWのリフトではなく、商品名関連KWのリフトとするなど)が必要となります。

Livでは、スパイクモデルのみ、もしくは、スパイク+ログモデルの2パターンを採用しています。


ログモデルの評価によって番組枠ごとやデジタル動画クリエイティブごとの成果順位が入れ替わることはほとんどないため、例えば需要期に実施しているキャンペーンであれば、広告出稿後すぐに行動することを期待しているのでスパイクモデルで十分であることが多いです。
逆に、閑散期(非需要期)に実施しているキャンペーンや、B2Bなど行動までにラグがある(休日見て平日に検索する、朝見て電車内でサイトに来る)場合は、スパイク+ログモデルを採用すべきです。

ログモデル単体を採用していない理由は、運用判断へのデータ反映ラグを短くするため、だそうです。
ログモデルでは出稿後任意時間までのデータを見る必要がありますが、これを7日と設定する場合、7日後まで(データが厳密にいえば反映するのは8日後)まで数字が確定せず、運用判断が単純に1週間遅れてしまうためです。

時系列統計モデルを採用していない理由は、運用判断へのデータ反映ラグを短くするため+運用判断に生かす粒度の情報が得られないから、だそうです。
どうしても計算やチューニングに時間がかかってしまうためCP期間内の運用が難しいこと、また、大きな粒度でしか比較できないため運用判断への反映が難しいのが実情です。

Liv (Tele-Digi AaaS)による評価

メディアの統合評価

Liv導入で一番最初に挙げられる価値転換は、あらゆるメディアを同一kPIへの貢献単価で横比較できることにあります。


テレビvsデジタルという粒度にとどまらず、テレビはエリア粒度・デジタルは媒体メニュー粒度での比較、クリエイティブ別にどのテレビ曜日時間帯・デジタルターゲティングとの相性がいいのかなど、さまざまな軸で比較できます。
例えばメディアポートポートフォリオとして、効率×量で評価した際に、効率が良く強化すべき領域はどこで、効率化を図るべき部分はどこにあるのかの可視化や、強化した際のサチュレーション(効率逓減)予測などで、運用判断への活用が可能です。

複数KPIの活用

目的達成状況によるKPIの切り替えや、メディア出稿目的に応じた比較に使用するKPIの選定など、複数KPIで評価したくなるケースは多いです。

KPIの切り替えについては、例えばキャンペーンの目的をWeb CVリフト、と設定した場合でも、Web CVリフト達成ペースが順調な場合よりアッパーファネルに該当する広告リーチやサーチをKPIとしたうえで間口を広げるアプローチへ変更する、といった運用を意図したものがあります。
クリエイティブの差し替えや予算傾斜への反映に向けた、意思決定の柔軟性向上が期待できます。

メディア出稿目的に応じたKPI設定では、例えばTVCMとデジタル動画広告は潜在層の認知+顕在層の行動喚起が目的=短期的には”サーチリフト”で比較し、刈り取りを目的としているデジタルバナー広告とTVCM/デジタル動画広告は”Web CVリフト”で比較する、といった使い方を意図しています。
KPI切り替えと合わせ、メディア予算をより柔軟に割り振るオペレーションが可能となります。また、TVCMの中でもサーチされやすい枠とWeb CVにつながりやすい枠は必ずしも一致していないため、目的やメイン比較対象に応じた判断ができるようになります。

Liv (Tele-Digi AaaS)による運用

統合運用

メディアを統合した運用、メディア出稿全体の最適化では、①全体予算をどう割り振るか、②割り振られた予算で各メディア内で同最適配分するか、の2つが重要です。

通常のメディアプラニングでは①と②のハイブリッド(②の積み上げも実施しつつ全体感もフォロー)か、①ののち②(リーチ観点で①を割り振り、獲得観点で②を最適化する)パターンが一般的です。

が、ことメディア運用の予算領域についていえば、すでに割り振られている予算をどう再配分するべきか、を検討することになるので、②⇒①の順番になります。
具体的には、
・効率のいい媒体メニューについていくらまで予算を積み増すことが可能なのかを算出
するとともに、
・効率の悪いメニューについて予算を減らすと効率が上がるのかなどを算出
しつつ、
・悪いメニューからいいメニューへ予算をアロケーションする
(結果としてテレデジの予算配分が変わったり変わらなかったりする)というものです。

この際に、予約型メニューは予算の強弱がつけられない、テレビは減額対応が難しい場合が多い、デジタルであっても予算アロケ判断日~予算アロケ実施日までのラグがあるなど、考慮すべき要素は多数あります。
そういった制約条件を守りつつ、運用判断を行うことが重要です。

個別最適化

各メディアの予算再配分に加え、クリエイティブの再配分も重要なテーマです。
テレビでは曜日時間帯や番組ジャンルごとに視聴者層が異なるため、刺さる訴求軸が異なる可能性が高いです。またデジタルではターゲティングセグメントをかけられ、掲出される配信面により広告/コンテンツ関与度が異なるため、クリエイティブ別の成果に差が出やすい傾向にあります。
サチュレーションが起きていないことを前提に、いいものに寄せるオペレーションを実施します。

また各メディアの予算再配分の前提条件として、たとえばTVCMの線引きを変える(改案)、といったチャレンジングな内容が含まれることがあります。TV AaaSの醍醐味、本当の意味での運用型TVCMの要素の1つで、テレビをスポットバイイングできている博報堂DYMPならではな部分です。

Liv (Tele-Digi AaaS)と上下レイヤーの関係

Liv (Tele-Digi AaaS)とAnalytics AaaS

ビジネスにおけるKGIを、inputデータとKPIの関係性で説明するのがMMM(Analytics Aaas)で、
MMM (Analytics Aaas) で使用するKPIを計測するのがLivです。

また、理想的な大枠の予算配分をサジェストできるのがAnalytics AaaSで、大枠予算配分に加え各メディアやセグメントのプラニングに示唆を出せるのがLivです。

マーケティング戦略にメディア戦略は従属しますので、Analytics AaaSを受けてのTele-Digi AaaSが基本で、Analytics AaaS導入済であれば、KPIや予算配分は原則Analytics AaaSの結果をベースパターンとします。

広告主の入り口としては、費用や対応領域の問題からAnalytics AaaSよりもTele-Digi AaaSのほうが入り口としては多いらしく、LivでKGIに貢献するメインKPIを設定しつつ、ほかにも多数のKPIを計測して起き、実際KGIリフトに貢献する中間KPIは設定したメインKPIだけで十分なのか気になった際に相関・因果関係を確認する、という流れだそうです。

Livで計測したリフト数・全数はAnalytics AaaSでのモデル構築時に役立ちますし、逆にAnalytics AaaSでKPIのリフト効率が設定できれば、対モデル効率などで運用判断が容易になります。

Liv (Tele-Digi AaaS)とTV AaaS・Digital AaaS

メディア評価について、Livには統合的なメディア評価に加え個別メディア評価も深掘りできる環境は容易されていますが、
例えば、
・テレビCMのアクチュアル率が悪いがその要因は何なのか(アクチュアル予測精度の問題)
・デジタルYoutube広告のセグメントは本当に適当だったのか(反応している人の属性とセグメントの違い)
など、個別媒体によりフォーカスすることで見えてくるものもあります。

短期的な運用判断はLivでも完結しつつ、キャンペーンレビューや短期運用判断の補完にTV AaaS/Digital AaaSを活用する、というアプローチが一般的なようです。

まとめ

LivはTele-Digi AaaS、統合メディアレイヤーに属するサービスで、
どのようなメディアを、どういった統一KPIで、どのように評価し、どうやって運用するのか

マーケティング戦略を具体化するメディアレイヤーとして、マーケティングレイヤー(Analytics AaaS)との関係性、メディア最適化をより一層実現する個別メディアレイヤー(TV AaaS・Digital AaaS)との関係性
という、メディア・KPI・評価・運用・上下レイヤーソリューションとのつながりという5つのポイントが重要。

メディアについては、テレデジを中心に、ODM/OOHやアナログラジオ広告、CTVや音声広告などもカバーしている。

KPIについては認知やリーチ、サーチやCV、購買やLTVなどフルファネルへの対応を、スパイク+ログモデルで実現している。

評価については、メディア統合評価によるマーケティング施策の一括管理を、複数KPI対応で実現している。

運用については、予算再配分によるメディア統合運用に加え、素材配分変更などを含め個別メディアの最適化も実現している。

上下レイヤーソリューションとのつながりでは、Analytics AaaSとはKPIや開始前プラニングで連携、TV AaaS/Digital AaaSとはCP期間中や終了後のレビューで連携します。