博報堂AaaSソリューション|テレデジ統合リーチ計測

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組織の中で、大したパフォーマンスも出せないけど経験だけ長いおじさん、いますよね。
いかんせん経験が長いだけにある程度のことはできてしまい、ゆえに給料も高い水準を維持するという。

別にその人の給与が下がったところで自分の給与が上がるわけではないのですが、とはいえ、福山雅治よろしく頑張って働いている自分とその人を比べるともやもやしてしまい、つい年功序列意識の低い外資に転職・・という選択が出てきてしまう今日この頃。

同じ組織に居続けると給与を下げる理由がない、であれば、新しい組織を作ってそこにぶっこめば、能力で給与下げられるじゃない!!!
そんな会社がちらほら見えている今日、皆さまいかがお過ごしでしょうか。

博報堂AaaSソリューション テレデジ統合リーチのモニタリングについてご紹介します。
何ができて、何ができず、いくらかかって、どれだけよくなるのか。ちゃんと判断していきましょう。

背景

AaaSとは

広告メディアビジネスのデジタルトランスフォーメーションを果たす次世代型モデル、のことだそうです。

詳細はこちらの記事をご参照ください。
博報堂提唱、AaaS(アース)とは?意味や仕組みまとめ

広告ってサービスだし代理店なんてサービス業そのものなんだけどな、という気持ちから入っても、ある程度わかるように書いています。

テレデジ評価の課題

博報堂の言い分

デジタルテクノロジーの進展により、生活者の情報接触はさまざまなメディア・デバイス・プラットフォームをまたがり、常時変化を続けています。
ゆえに、その生活者を相手にしている企業のマーケティングコミュニケーション施策もメディア・デバイス・プラットフォームを横断することにより、より高い効果を期待されるようになっています。

加えて、生活者の動向を継続的かつ高速で分析を繰り返すことでマーケティングコミュニケーション施策の効果を高めていくことが期待できます。

一方で、これまで、メディアごとに取得できるデータの種類や評価指標は異なり、複数のメディアの広告効果を複数のデータを統合して一元的に管理することは困難でした。
また、シングルソースパネルに対する調査でその管理が可能であったとしても、データの種類や量に限りがあり、正確なデータ分析をするには不十分な状況でした。
さらに、精緻な分析のために不可欠なデータの種類や量の確保に時間がかかるため、刻々と変化する生活者のメディア接触状況を把握することについてタイムラグが発生し、より実態に即したリアルタイムの分析ができにくいという課題もありました。

3行まとめ

  1. 生活者はいろんなメディアに触れるからクロスメディアで評価したい
  2. 現実的にクロスメディアの評価って指標が違うし調査パネルはちっちゃいし難しい
  3. クロスメディアの分析ができて、しかもそれが高速だったら素晴らしくない?

ソリューション概要

名称は?

"テレデジライブモニタリング"という名称のようです(https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000050.000038657.html)

テレビ広告とデジタル広告の両方の出稿にともなう評価指標データを一元管理し、デイリーで広告主と広告会社で見ることができる統合ダッシュボード、略してテレデジライブモニタリング、ということです。

何ができるの?

ダッシュボードイメージを公式サイトから入手しました。

これによると、見れるものは
・テレビのリーチ(FQ別)
・デジタルのリーチ(FQ別)
・テレデジ統合リーチ(FQ別)

の大きく3つです。

例えば、広告に3回あてると想起率が高まる=ビジネス成果に影響がある、ようなことがわかって入れば、
テレビとデジタルのリーチ3+の割合をチェックすればOK

例えば、キャンペーンリーチを最大化したい場合には、
テレビのリーチカーブとデジタルのリーチカーブの傾きをチェックして、次の100万円をどっちに投下する方が効率がいいのかをみればOK

そういった形で、何らかのベンチマークとして持っているリーチ&フリークエンシー(R&F)に対し、現状どの程度進捗しているのかを見るソリューションです。

あるいは、代理店が提示してきたシミュレーション値と見比べながら、なぜシミュレーションと乖離があるか、乖離分についてその責任をどうとらえているのかを聞いてもいいかもしれません。

どうやって実現しているの?

このソリューション、実はシングルソースのデータソースに依存せず、テレビとデジタルを一元化した広告効果をアルゴリズムの特許を取得して、汎用的にそして高速に確認可能なダッシュボードとしては国内初の提供だそうです。

つまり、テレデジの計測は別であるということ・・
テレビの計測、デジタルの計測、テレデジ重複分の計測、の大きく3つのセクションに分かれて計測されています。

テレビの計測について

テレビCMのR&Fを図る代表的なツールは、VR視聴パネル、i-SSP調査パネル、テレビ各社のメーカーログ(機器ログ)の大きく3つで、テレデジライブモニタリングでは

VR視聴ログ

を採用しています。
恐らくですが、i-SSP調査パネルでは母数が少なく、テレビ各社のメーカーログでは視聴しているかどうかがふわっとしてしまう(テレビがついていたことはわかるが、見ていたかどうかがわからない。また、誰が見ていたのかを推計するロジックが間に挟まる)からだと思われます。

VR視聴ログを使うことのメリットはほかにもあり、

視聴率=VRが出しているデータが正解

ですので、エリア・放送局・ターゲット別にアクチュアル速報値をチェックすることが可能です。

デジタルの計測について

デジタルデータのリーチ計測は、例えばGoogleのCampaign Manager360、インテージのImpトラッキングタグ等様々ありますが、テレデジライブモニタリングでは

DAR(Digital Ad Ratings/Nielsen)

を利用しているようです。

恐らくですが、計測可能媒体が多いこと(Campaign Manager360ではFacebookが計測不可)、グローバルとして採用が多いことが要因なのかなと。
DARはFacebookパネルの利用ができなくなったため、代替データの信頼性検証が必要なソリューションではあります。ありますが、まあこれで測るしかないのであれば使うまで、といった感じです。

テレデジ重複分の計測について

「博報堂DY次世代メディアシステム」上に蓄積された、広告主ごとのテレビ出稿実績データ、デジタル出稿実績データをもとに、博報堂DYグループ独自で開発したアルゴリズム(特許取得)により、出稿の2日後にはテレビ広告とデジタル広告の統合された広告ターゲットへの到達率の予実管理を行うことが可能になります。

とのことで、特許第6800361号について見てみましょう。

まず、データは下記フォーマットでD1~4まで把握できます。
これはただVRとDARで計測した結果稿なりました、というだけの話です。

次に、D3のなか、つまり、デジタル広告の接触回数を、D4の平均接触回数のデータから算出します。

平均が1.2回と分かっていて、1回接触者、2回接触者、3回接触者(現実であれば、4回、5回・・)をどう決めているのか、そのロジックは、負の二項分布との近似だそうです。

負の二項分布における確率質量関数をpmf(x;r,p)
「対象デジタルコンテンツにx回接触した人の割合」=pmf(x;r,p)
 「リーチ」=1-「0回接触のユーザの割合」=1-pmf(0;r,p)
 「平均接触回数」=sum(i*pmf(i;r,p))/「リーチ」

によって確率質量関数pmfのパラメータr,pを決め、それにより1回接触者、2回接触者、3回接触者のリーチ率を算出しています。

続いて、テレビのFQ別比率、デジタルのFQ別比率が明らかになったので、そこから行列計算(ただの掛け算)で分布を算出します。

例えば、テレビの接触1回(29%)×デジタルの接触2回(11%)=3.19%
となるわけです。

え、掛け合わせるだけ?という話で終わるはずもなく、この後係数補正が入ります。

図5として、博報堂オリジナルシミュレーターで算出した第3データベースから、テレビ非接触者とデジタル非接触者の比率が現実と同じ時の、テレデジ重複接触比率・単媒体接触データを持ってきます。

この補正係数を使って、非接触数字、単媒体接触の数字、重複分の数字を、比率計算でいい感じに整えています。

例えば、デジタル1回テレビ0回の人は、
元の計測値(18.6%)×補正係数(34/(64-27.5))=17.326%

というふうに計算されるわけです。

いくらなの?

広告主によって出し値を変えているのがこういったソリューション売り込みの常ですので、参考程度ではありますが、

ダッシュボード関連費用とデータ関連費用の大きく二つある中で、

ダッシュボード関連費用
・初期構築費用:発生(300万円と聞いている広告主もいるようです)
・ランニング費用:発生

データ関連費用
・テレビデータ利用費:VR次第
・デジタルデータ利用費:DAR次第
・重複推計ロジック開発:発生

だそうです。年間600万円くらいですかね?

このソリューション、使えるの?

いいな、と思った部分

テレビとデジタルを横断で評価しよう、しかもそれがダッシュボードで確認出来て、デイリーでアップデートされる

というコンセプトとスピード感は素晴らしいと思います。
結局実施している施策は多くの場合テレデジ横断ですし、打ち手検討のスピード感にも見合っています。

テレビはその性質上素材差し替えしかできないでしょうが、デジタルでは媒体メニューごとの調整など細やかにできるのでいいかな、と思います(テレビと重複リーチを狙うセグメントとテレビと補完リーチを狙うセグメントの二つ用意しておくと、戦術オプションとしては申し分ないですね)

また、費用感も思っていたよりリーズナブルです。
が、これはテレビを年間いくらやっているのか次第かな、と思います。

計測費用に年間600万円程度はかかりそうな印象を受けるので、出稿額の5%以下を目安にすると1.2億くらいはないと厳しそうです。

ローカルでトライするために計測しよう、は少し違うのかな、といった印象です。

加えて、蛇足的ではありますが、TVCMのアクチュアルを見れるのもいいなと思います
TVCMはその性質上未来の視聴率を過去の視聴率データを基に予測して値付けするので、過去から予測したデータと大きく乖離している(張りぼてを売りつけられている)可能性が無くはないです。

ですので、その監視の意味で効果的だと思います。
単価10万円と聞いていたのに、実際は単価12万円でした、この差を広告代理店としてどう考えているのですか?そんな感じです。

留意すべき、と思った部分

R&Fを追いかける意味を最初に定義しておくべきです。
テレビのリーチが80%でした、テレデジ重複の5+リーチが20%でした・・というのがわかるのがこのソリューションですが、わかったから何?がないと何も始まりません。

100%の人に届けたいんだ、が目標であればわかりやすいのですがそんなことはなく、
またターゲットの60%に届けたい、なんてこともほとんどなく・・

本質的には、ターゲットの30%に商品を認知させたい、ターゲットの20%のサービス理解を深めたい、といった目標からテレビ・デジタルといったメディアをフォーメーション含め選定しているはずです。

認知させるには3回FQが必要だ、そんな意味付けをすべきです。
博報堂はどうやらそのあたりも手伝ってくれる(もちろん別途費用)ので、例えば今、TVCMを費用の安いADKで実施しているとしても、とりあえず相談してみるのもありだと思います。

加えて、費目の重複ロジック開発費用は不要ではないか、と思ってしまいました。
だって、特許取ってるんですよ?すでにロジックはかんせいしているではありませんか・・。

また、特許取得済の重複ロジックに疑問が2つ残ります。

デジタルの接触回数分布を負の二項分布で規定していますが、そもそもデジタルの接触回数って負の二項分布に当てはまるものなのでしょうか?

単一のキャンペーングループしか走っていない場合は当てはまるものなのでしょうか?
単一媒体で複数のキャンペーンとメニューが走っていて、キャンペーン間でターゲットの重複がある場合はどうなのでしょうか?

ましてや、複数媒体が走っている場合は・・・

高FQ者と低FQが多く出る、2山できる分布になることはないのでしょうか?
詳しく突っ込んでみてもいいかもしれません。

また、博報堂オリジナルシミュレーターで算出した第3データベースによる補正も気になります。
・・といいますか、だったらこのデータベースを構築した方法で計測すればいいんじゃないのかな、それができない理由ってデータ数なんだろうかであれば信頼性は・・と思ってしまいました。

速報性が要因かもしれませんが、自社開発のものが速報性がないのであきらめるというのはお話にならないので、なんでなんだろう、補正元データは正しいのだろうか、という疑問が残ります。

もし私が広告主だったら・・

どんなソリューションでもある種の仮定条件があり、それが致命的でない限り受け入れるしかない、と考えています。

今回のテレデジライブモニタリングは、内容としては面白く、メディア戦術をアップデートしてくれるに足るものだと考えています。
R&Fのマーケティング的な意味付けさえできてしまえば、目標に対する進捗確認ソリューションとして使えるものです。

ただし、データ推計周りのロジック不明点は気になり、ここが表示内容の正しさを保証するものであるので、

いったん保留

そう判断しました。
これなんで特許取ったんでしょう・・